テニスの撃力を再現するデバイス

VR (Virtual Reality)環境への没入感や臨場感を向上させるため,実環境で得られるよう力覚を提示可能なデバイスが数多く提案されている.その中でも球技で生じる瞬間的な大きな力である撃力を提示するための触覚デバイスが研究されているが,元の状態に戻す際の質量移動に伴う意図しない感覚の生成や,触覚の遅延,デバイスの重さ,動作範囲の狭さなど,さまざまな問題点がある.これらの問題を解決するため,把持型の撃力提示デバイスを提案する.提案デバイスは,内蔵されるボイスコイルモータを動作させることにより,把持部分の人差し指付け根と小指の先端に接する部分を瞬間的に変形させ,手のひらを圧迫させることで,撃力として提示する.提案デバイスは実環境に固定する必要がないため,ユーザは使用中に自由に動き回れる.これまでに,動きの制限がなく撃力を提示するデバイスを試作し,提案デバイスを用いてテニスでのフォアハンドボレー時の撃力提示ができるかを実験により評価した.体験者がボールを打った時の手のひらの圧力,デバイスの加速度測定による主観的評価,そしてアンケートによる客観的評価によって評価を行った.結果より,体験者の手のひらにかかる圧力の解析およびアンケート評価により,提案デバイスが既存デバイスであるVIVEコントローラより,現実に近い撃力提示が可能なことを示した.

Tactile feedback is crucial to improve the realism of virtual sports, which are popular applications of virtual reality (VR). However, few wearable tactile feedback devices can produce an impulse force in midair. We propose a graspable impulse force presentation device by using a voice coil motor. In the evaluation experiment, the result suggests that the proposed device improves the sense of realism compared to a conventional VR controller with vibration.

Kazuma Yoshimura, Naoya Isoyama, Hideaki Uchiyama, Nobuchika Sakata, Kiyoshi Kiyokawa, and Yoshihiro Kuroda: A Skin Pressure-type Grasping Device to Reproduce Impulse Force for Virtual Ball Games, IEEE VR 2022, pp. – (Mar. 2022).

Kazuma Yoshimura, Naoya Isoyama, Hideaki Uchiyama, Nobuchika Sakata, and Kiyoshi Kiyokawa: Study of a Racket-Type Device that Reproduces Impulsive Force of Ball Games, Asia-Pacific Workshop on Mixed and Augmented Reality (APMAR) 2021 (Apr. 2021).

吉村和真, 磯山直也, 酒田信親, 清川 清: 球技の打撃力を再現するラケット型デバイスの検討, ユビキタス・ウェアラブルワークショップ2020 論文集, p. 5 (Dec. 2020).