Multi-tiles 回転するディスプレイを用いた情報提示

映像をスクリーンに投影して閲覧することは一般的であるが,高輝度化・広画角化といった性能向上により,スクリーンに投影される映像はその場にいる全員が同じものを見ることになるため,聴衆は画一的な情報を受動的に得るのみである.映像の投影者は,聴衆全員に見せることのできる情報のみを提示するため,情報を特定の人から隠すことはできない.聴衆も,投影映像に見たくない情報が含まれていてもその部分を避けることはできず,取得する情報を選択できない.また聴衆からは情報を提供できず,投影者と対話することや付加的な情報を他の聴衆と共有することができない.スクリーンの大画面化も進んでいるが,これまで提示していたものをそのまま大きく提示するだけでは人間の視野の影響により近くに寄ると見えなくなってしまう,もしくは提示する情報を増やすと聴衆が情報を追い切れない等,大画面故の問題がある.そこで,本研究ではスクリーンを分割し,それぞれの投影面の角度を物理的に変化させることで投影映像を制御するシステムを提案する.投影面が聴衆の方へ向くことにより,聴衆は見たい映像を集中して見ることができ,投影者は特定の人に見せる,見せないを選択できるようになる.投影面は複数枚に分割されており,それぞれに違った情報を投影できるため,聴衆に合わせた情報を提示することにより,見やすい大きさかつ,効率良く多くの情報を提示できる.さらに聴衆が情報提示に参加できるように,ネットワークを通じて投影面の向きや投影内容を外部から操作できる機能ももつ.本研究では分割したスクリーンの投影面のそれぞれ後ろにモータをつけて回転できるようにしたプロトタイプを作成し,投影面を聴衆の方へ向けないことで,投影内容を隠すことができることを確認した.

With the recent fall in the prices of small and high resolution projectors, it has become increasingly popular to project images onto a screen. However, because viewers can see all of the images projected on a screen at a given time, the presenter is not able to present only a portion of the projected information. In other words, the viewers cannot look at a part of the projected information selectively: they must see it all, including that which they do not want to see. To overcome this limitation, we propose a presentation system using a multi-tiled screen. The screen is divided into 3 x 3 multiple rotatable panels and by rotating the surface of the projection, the presenter can select which information the viewers can see. We implemented a prototype system and confirmed that the presenter can conceal a part of the projected information from viewers who cannot see the projection surface of certain panels.

Naoya Isoyama, Tsutomu Terada, and Masahiko Tsukamoto: Multi-tiles: a System for Information Presentation using Divided Rotatable Screens, The 13th International Conference on Advances in Mobile Computing and Multimedia (MoMM '15), pp. 14–18 (Dec. 2015). [ACM DL]

磯山直也, 寺田 努, 塚本昌彦: Multi-tiles: 部分回転可能なスクリーンを用いた情報提示システム, エンタテインメントコンピューティング2012 (EC2012), pp. 170–178 (Sep. 2012).

磯山直也, 寺田 努, 塚本昌彦: 部分回転が可能なスクリーンMulti-tilesの設計と実装, ユビキタス・ウェアラブルワークショップ2011 論文集, p. 13 (Dec. 2011).

磯山直也, 寺田 努, 塚本昌彦: Multi-tiles: 部分回転が可能なプロジェクタスクリーン, 日本ソフトウェア科学会 第19回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS2011) 論文集, pp. 202–203 (Dec. 2011).