周辺視野のみに情報提示するシステム

周辺視野領域の視覚情報が,安心感や共感の喚起など様々な精神的効果を与える事が明らかになっている.周辺視野に対し情報を提示することで,無意識的に認識させ,実作業を阻害することなく効果を与えることが可能である.一方,既存の情報提示システムの多くは中心視野がディスプレイで覆われており,周辺視野に特化したものは例を見ない.そこで本研究では周辺視野のみに備えられたディスプレイを用いて情報提示を行うことで,中心視野を阻害することなく適材適所でその効果を受けられるシステムの構築を目指す.提案システムとして,これまでに,Webカメラと慣性計測装置を用いる事で首姿勢を考慮したビデオシースルー式ARシステムを実装した.提案システムの有効性を確認するために,情報提示によって共感を促すシナリオを想定して評価実験を実施した.結果から,周辺視野領域のディスプレイに人物を提示することで,存在感を与え,共感を喚起可能であることが示唆された.

喜多山湧也, 磯山直也, 内山英昭, 酒田信親, 清川 清: 周辺視野のみに情報提示するディスプレイシステム, メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会, Vol. 121, No. 349, MVE2021-34, pp. 25–30 (Jan. 2022).

喜多山湧也, 磯山直也, 酒田信親, 清川 清: 周辺視野のみへの情報提示の基礎的検討, 情報処理学会研究報告(エンタテインメントコンピューティング研究会 2019-EC-54), Vol. 2019-EC-54, No. 2, pp. 1–2 (Dec. 2019).