Naoya Isoyama
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家電へのアニマシー知覚の付与
家電製品を使用するにあたり,事前に家電製品の状態を知る必要があることや,疲労を伴う操作があるため,行動前に意欲を向上させることから終了にかけて煩わしさを感じる場合がある.本研究ではこの煩わしさの解決のために,AR (Augmented Reality) を用いて家電製品自体に生き物化した家電製品の3Dモデルを重畳し,アニマシー知覚 (観察対象に生き物らしさを感じる感覚) を生起させるシステムを提案する.提案システムでは家電製品の内部状態をもとに,生き物の振る舞いとして状態提示の表現をする.これまでに,家電製品の1例である冷蔵庫について,アニマシーを付加した見た目や振る舞いが自然に感じられるように,フォーカスグループを実施してデザインを決定した.これをもとに試作システムを実装し,印象評価をするためにテキスト提示手法を比較対象とした実験1を実施し,冷蔵庫を操作する際の不快感を調査した.実験1の結果,提案手法ではアニマシー知覚の生起と親近感の向上が見られ,不快感低減の可能性や学習コストの低さが示されたが,行動を強制する力が強い問題があった.実験2では,アニマシーの条件に周囲の人との関係がわかるかのような振る舞いを付加して知性を高めることで,不快感に悪影響がないままキリ良く行動できるかを調査した.実験2の結果,テキスト・アニマシー・知的の3条件で不快感低減や作業に取り掛かるキリに違いが見られなかった.
馬場 建, 磯山直也, 内山英昭, 酒田信親, 清川 清: 家電使用時の不快感低減のためのアニマシー知覚を用いたAR状態提示, メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会, Vol. 121, No. 179, MVE2021-10, pp. 13–18 (Sep. 2021).